健康診断トピックス
第21回テーマ
尿酸と痛風
健康診断を受けると、多くの場合に検査項目として入っている「尿酸」。いったいどのようものでしょうか?
血清尿酸値は著明な性差があり、女性は男性に比して1.0~2.0mg/dL程度低いですが、閉経以降に上昇し、男性の値に近づきます。血清尿酸値の基準値は2.1~7.0mg/dLで、男女問わず血清尿酸値が7.0mg/dLを超えると、尿酸が結晶として関節や臓器に析出しやすくなります。そして、高血圧症、糖尿病等の合併症がある場合は8.0mg/dL、無い場合は9.0mg/dLから高尿酸血症の治療適応となり、6.0mg/dL以下を目指します。
では、どのようなときに血清尿酸は上昇するのでしょうか?血清尿酸は早朝に上昇し、夜には低下します(日内変動)。また、季節変動もあり、夏場の方が上昇します。これらが関連し、関節炎等をひきおこした状態が「痛風」と言われる状態です。第一中足趾関節(足親指の付け根にある関節)が好発部位となります。
「風が吹いただけでの痛い」と昔から言われてきた痛風。その痛風の大きな原因となっているのが前述の「尿酸」です。また、中高年男性で「痛風になって・・本当に地獄だった」と話をしている場面に遭遇したことがある例もあるでしょう。痛風の発生機序はいくつかありますが、主だったものは「尿酸産生増加」と「尿酸排泄低下」です。文字通り「たくさんできる」のと「体から出て行きにくくなる」ということですが、いずれにせよ内服療法になります。
プリン体含有量が多い食品として肉、ビール、エビ、カニ、貝類、レバー(豚、牛)、青魚干物等があげられます。また、酒の種類別では前述のビール、発泡酒が多く日本酒、ワインが続きます。これらの多量摂取を控えるとともに、「飲水を多めに」ということも重要です。尿の量が増加し、尿酸が排泄されやすくなります。また、尿酸が低下している場合もありますが、腎臓、肝臓、薬剤が原因となっている場合が多いので、原因検索が必要です。
これらのことをふまえ、人間ドックや健康診断結果をご覧いただけたら幸いです。
(文責:医師 泉 浩之)
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