東京都立川市。人間ドック、健康診断、健康増進を通じて、皆様の健康管理のお役にたちたいと考えております。

健康診断トピックス

第15回テーマ
ドックでもし「未破裂脳動脈瘤」が見つかったら・・・・Q&A

Q.1 脳卒中(脳血管障害)の中で未破裂脳動脈瘤とは?
A.1 血管障害の70%は血管閉塞(脳梗塞か脳血栓)です。脳出血には高血圧性脳内出血とくも膜下出血があり、くも膜下出血の原因の殆どが動脈瘤破裂です。
   
Q.2 脳ドックで未破裂脳動脈瘤が見つかったら大変なことですか?
A.2 そんなことはありません。ある意味ラッキーかもしれません。
未破裂脳動脈瘤は発症(出血)する前に診断・治療が可能な唯一の脳卒中です。
動脈瘤が見つかっても治療が必要な方は限られており、しかも緊急性がありません。
   
Q.3 ではなぜ脳動脈瘤は重要な病気なのでしょうか?
A.3 脳動脈瘤自体は全く無症状であり、日本人の脳動脈瘤有病率は4.2%です(未破裂脳動脈瘤Japan standard2015)。
すなわち脳動脈瘤は無症状でかなり多くの方が持っているということになります。
ただし破裂してくも膜下出血を起こすと最も致命率の高い脳卒中であり、元の生活に戻れる方が1/3、 障害を残して自宅に帰る方が1/3、亡くなる方が1/3、の比率は現在も変わりありません。
   
Q.4 脳動脈瘤は見つかったらみんな手術をしなくてはいけないのでしょうか?
A.4 そんなことはありません。動脈瘤の大きさにより治療をお勧めするか経過を見るだけでよいか、出血する確率をもとに治療の適応基準が学会で決まっています。ほとんどが経過観察となり、検査間隔も推奨手順が決まっています。万が一治療が必要な大きさであっても緊急性はありません。
専門医(脳神経外科医)とじっくり相談し、時期や治療方法を決めていきます。
   
Q.5 手術をしないで経過観察となる脳動脈瘤ありの方の生活制限は?
A.5 原則何の制限もありません。唯一出血誘因要因とされる喫煙習慣を止めてもらうことと、脳血管障害一般の注意として血圧の適正管理はお勧めします。
   
Q.6 脳動脈瘤は遺伝しますか?
A.6 若干の遺伝素因があるといわれています。第一度近親者(親・子ども・兄弟)には10%の動脈瘤派生率が確認されています。故に、動脈瘤・くも膜下出血が確認された場合上記のご家族の方には検査をお勧めしています。

(文責:医師 坂井春男)

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