東京都立川市。人間ドック、健康診断、健康増進を通じて、皆様の健康管理のお役にたちたいと考えております。

健康診断トピックス

第十回テーマ
ドック・健診施設の検査基準値と医療機関の検査基準値の違いについて

健康診断の結果で病院に行ったけど「心配ないですよ」と言われたことがありませんか?
 血液検査で、ドック・健診施設の結果表の基準値と、病院など医療機関で行った検査の基準値で値が異なるものがあるのはなぜでしょうか?主な理由として次のことが挙げられます。
 ① 基準設定の拠り所としている統計が施設・機関により異なる。
 ② 特定の項目で検査の目的が健診施設(病気の予防)と医療機関(臨床上問題となるか)で異なる。

基準となる値は基準範囲臨床判断値に大別されます。
 ・基準範囲は中央の値を含む健常人の95%が入る範囲のことです。
基準範囲にも統計の元になるデーが複数存在するため、どの統計を採用するかで機関によってばらつきがあります。
 ・臨床判断値は病気の診断や健康の維持、積極的な治療の要否の判断等に使用する値です。
基準値は、大部分が基準範囲で、一部の項目に臨床判断値が使用されています。
臨床判断値はさらに診断閾値(しきいち) (カットオフ値), 予防医学的閾値, 治療閾値に分類されます。診断閾値は特定の疾患を診断するための値、予防医学的閾値は健康を維持するために学会のガイドラインなどで設定されている値、治療閾値は積極的な治療介入の必要性を判断するための値です。

腫瘍マーカーなどは、病気の発見という意義で健診施設・医療機関共に目的が共通しており診断閾値を使用しています。
脂質や糖などの生活習慣病関連検査では、健診施設では病気の予防を目的に、より狭い範囲である予防医学的閾値を採用しており、医療機関では一般に基準範囲を使用します。ここが健診施設と医療機関で最も異なるところです。
肝機能や腎機能など予防医学的閾値が存在しない項目については、健診施設・医療機関とも基準範囲を使用します。
このように基準値はその目的に沿って項目ごとに適切なものが設定されています。
 

まとめ

基準範囲 中央値を含む健常人の95%が入る範囲。血球数や肝機能・腎機能・医療機関における脂質や血糖などで使用されます。
臨床判断値 診断閾値 特定の疾患を診断するための値。腫瘍マーカーなどで使用されます。健診施設・医療機関共通の値です。
予防医学的閾値 健康を維持するために必要な値。健診施設における脂質や血糖などで使用されます。
治療閾値 積極的な治療介入の必要性を判断するための値。腎不全で透析導入を考慮する際のクレアチニン値など。結果表の基準値には通常使用されません。

(文責: 医師 吉野 薫)