東京都立川市。人間ドック、健康診断、健康増進を通じて、皆様の健康管理のお役にたちたいと考えております。

健康診断トピックス

第五回テーマ 「レントゲンでの被ばくは心配ないのか?」

 放射線部では、電離放射線(X線)を使用して、画像検査を行っています。画像検査を受けることで被ばくをする(医療被ばく)ことになりますが、病気を発見したり、病気の状態を知ることで治療に必要な情報を得るというメリットを受けることができます。
「放射線」や「被ばく」と聞くと、怖いイメージを抱く方もいると思いますが、医療被ばくは原爆や原発事故とは全く異なり、使用する放射線の量は身体に影響が出ると言われる量よりもはるかに少ない量です。医療被ばくを考える上で必要なことは、被ばく量とその影響を知ることです。

(1)被ばく量
 私たちは、食べ物や空気、大地からの放射線や宇宙線など、絶えず自然界から放射線を受けています。通常、私たちはこの被ばくについて考えたり不安になることもなく生活しています。そしてその被ばく量は、世界平均で約2.4mSv(ミリシーベルト;被ばくの単位)です。
代表的なX線検査での被ばく量は撮影機器や患者さんの体格、年齢により異なりますが、胸部X線 0.06mSv、胃X線 3mSv、乳房0.3~0.6mSv、胸部CT 5~10mSv程度になります。

(2)影響
 X線による被ばくでは2種類の影響を受けます。
確定的影響;ある一定の量(しきい値)を超えると現れる影響。被ばく量がしきい値より小さければこの影響は発生しません。これには脱毛、白内障、皮膚の障害、造血能低下、不妊などがあります。
確率的影響;線量の増加に伴い発生確率が比例的に増加すると仮定される影響。この影響にはしきい値はありません。これには発がん、白血病、遺伝的影響があります。

 100mSv以下の被ばく線量では、被ばくによる影響を適切に説明できる科学的データはなく、日常的に行われているX線検査では、①確定的影響も②確率的影響も心配する必要はありません。もし、画像検査を受ける際に、何かしら不安なことがあれば、放射線スタッフにご相談ください。

(文責;医師 貞岡 亜加里)