健康診断トピックス
第11回テーマ
お酒飲まないのに脂肪肝? 肥満が無いのに脂肪肝?
・・・NAFLD(非アルコール性脂肪肝)やNASH(非アルコール性脂肪肝炎)について
健診・ドックを受診された際度々耳にする、「脂肪肝」。そもそも「脂肪肝」とはどのようなものでしょうか?
定義的には、5%以上の肝細胞に脂肪が沈着している状態を示します。近年は、NAFLD(nonalcoholic fatty liver disease)やNASH(nonalcoholic steatohepatitis)という病態例が確認されています。NASHはNAFLDのうち、病的意義のある脂肪肝で、採血データでAST、ALT、r-GTPなどの上昇を認めます。飲酒、肥満等の要因が無いにも関わらずr-GTPなどの値が上昇し、健診・人間ドックなどでも、
「飲酒もしていないのに何で肝機能が上昇しているのだろう?」
「肥満でもないのに何で肝機能高いのだろう?」
というご経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
一昔前までは、脂肪肝=アルコール多飲、という概念が一般的でした。しかし近年では健診・人間ドックの普及により非飲酒者および非肥満者の肝障害、脂肪肝もクローズアップされるようになりました。
我が国のNAFLDの頻度は、肥満人口の急増を受けて20~40%と国民病となりました。NASHは組織診断所見で診断されるため、一般人口の有病率は不明ですが、NAFLDの10~20%がNASHですので、その有病率は2%~8%と推定されます。慢性肝疾患の病的検討では、NAFLD/NASHは全肝硬変の5.8%(2018年)、肝細胞癌では4.3%(2019年)と報告されています。
ウイルス性肝炎が抑圧されつつある現在、NAFLD/NASHは今後、肝硬変、肝細胞癌の主な原因疾患になると予想されています。アルコール性肝障害等と同様に、諸々の精査を受ける必要性が大きいのではないかと思われます。
(文責:医師 泉 浩之)
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